悲しんでくれ、おお愛と欲望の神々たちよ、人間の喜びに関わる
限りの神よ。私の恋人の雀が死んだ。彼女が目に入れても痛くない
くらいに可愛がっていた一羽の雀が死んだ。
蜜のように愛らしく、少女が母親に甘えるように、私の恋人になつ
いていた。彼女の膝の上から離れようとせず、あちこち向きを変え
ては飛び跳ねる。ちゅんちゅんなくのは、彼女に対してだけだっ
た。
それが今や漆黒の道を通り、誰も引き返すことのできない場所に向
かって進んでいる。オルクス(冥界)のいまわしい暗闇よ、くたば
るがいい。美しい命をみんな飲み込んでしまう暗闇よ。
ああ、何という残酷な出来事だろう。ああ、可哀想な雀の命よ。
今、おまえを悲しむあまり、私の恋人は泣きはらし、はれた目が
真っ赤になっている。